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大阪地方裁判所 平成6年(わ)695号 判決

本店所在地

大阪府守口市京阪本通二丁目一六番六号

有限会社マルベン

右代表者代表取締役

大江敏行

本籍

高松市男木町二一八番地

住居

大阪府守口市京阪本通二丁目一六番六号

会社役員

大江敏行

昭和二年九月二四日生

主文

被告人有限会社マルベンを罰金一四〇〇万円に、被告人大江敏行を懲役一年に各処する。

被告人大江敏行に対し、この裁判確定の日から二年間右刑の執行を猶予する。

理由

(犯罪事実)

被告人有限会社マルベン(以下、被告会社という。)は、大阪府守口市京阪本通二丁目一六番六号に本店を置き、婦人服卸販売業等を営むものであり、被告人大江敏行(以下、被告人という。)は被告会社設立当時の昭和四一年四月から昭和五三年九月一一日に辞任するまでは被告会社の代表取締役として、その後は被告会社の実質経営者として業務全般を統括しているものの(本件起訴に係る会計年度後の平成四年六月三〇日、被告会社の代表取締役に就任。)であるが、被告人は、被告会社の業務に関し、法人税を免れようと企て、

第一  平成元年四月一日から平成二年三月三一日までの事業年度における実際の所得金額が、別紙1の修正損益計算書記載のとおり、九九八九万九三七〇円で、これに対する法人税額が、別紙4の税額計算書記載のとおり、三九〇六万九七〇〇円であるのに、架空の仕入を計上するなどの不正の行為により、右所得の一部を秘匿した上、平成二年五月三〇日、大阪府門真市殿島町八番一二号所在の所轄門真税務署において、同税務署長に対し、右事業年度の所得金額が、別紙1の修正損益計算書記載のとおり、二二三一万六八三〇円で、これに対する法人税額が、別紙4記載のとおり、八〇三万六五〇〇円である旨の内容虚偽の法人税確定申告書を提出し、そのまま法定の納期限を徒過させ、もって不正の行為により、別紙4の税額計算書記載のとおり、右事業年度の法人税三一〇三万三二〇〇円を免れた、

第二  平成二年四月一日から平成三年三月三一日までの事業年度における実際の所得金額が、別紙2の修正損益計算書記載のとおり、六五一〇万四二一六円で、これに対する法人税額が、別紙4の税額計算書記載のとおり、二三六二万〇五〇〇円であるのに、前同様の不正の行為により、右所得の一部を秘匿した上、平成三年五月二九日、前記門真税務署において、同税務署長に対し、右事業年度の所得金額が、別紙2の修正損益計算書記載のとおり、一九四六万五八〇六円で、これに対する法人税額が別紙4記載のとおり六五〇万五九〇〇円である旨の内容虚偽の法人税確定申告書を提出し、そのまま法定の納期限を徒過させ、もって不正の行為により、別紙4の税額計算書記載のとおり、右事業年度の法人税一七一一万四六〇〇円を免れた、

第三  平成三年四月一日から平成四年三月三一日までの事業年度における実際の所得金額が、別紙3の修正損益計算書記載のとおり、四四三七万一八三〇円で、これに対する法人税額が、別紙4の税額計算書記載のとおり、一五八三万三二〇〇円であるのに、前同様の不正の行為により、右所得の一部を秘匿した上、平成四年五月二六日、前記門真税務署において、同税務署長に対し、右事業年度の所得金額が、別紙3の修正損益計算書記載のとおり、一〇三二万〇五二五円で、これに対する法人税額が別紙4記載のとおり三〇六万四〇〇〇円である旨の内容虚偽の法人税確定申告書を提出し、そのまま法定の納期限を徒過させ、もって不正の行為により、別紙4の税額計算書記載のとおり、右事業年度の法人税一二七六万九二〇〇円を免れた。

(証拠) ( )内の算用数字は、検察官請求番号である。

判示全事実につき

一  被告人の当公判廷における供述

一  被告人の検察官に対する各供述調書及び大蔵事務官に対する各質問てん末書

一  被告人作成の各確認書

一  大蔵事務官作成の平成五年五月二七日付(検察官請求番号八)、同年四月一〇日付(同九)、同年五月二七日付(同一〇)、同年四月二六日付(同一一)、同年五月二〇日付(同一三)、同日付(同一四)、同月二七日付(同一五)、同年六月四日付(同一六)各査察官調査書

一  大江房子、慎性卓、李信花、慎丞泰、金栄姫、夫順子、高永賛の大蔵事務官に対する各質問てん末書

一  大蔵事務官作成の報告書

一  登記官作成の法人登記簿謄本

判示第一の事実につき

一  大蔵事務官作成の証明書(同四)

判示第二及び第三の各事実につき

一  大蔵事務官作成の同年五月二七日付(同一二)、同年六月四日付(同一八)各査察官調査書

判示第二の事実につき

一  大蔵事務官作成の証明書(同五)

判示第三の事実につき

一  大蔵事務官作成の証明書(同六)

一  大蔵事務官作成の同年五月二七日付(同一七)査察官調査書

(法令の適用)

被告人の判示各所為は、法人税法一五九条一項に該当するので、いずれも所定刑中懲役刑を選択し、以上は刑法四五条前段の併合罪なので、同法四七条本文、一〇条により犯情の最も重い判示第一の罪の刑に法定の加重をした刑期の範囲内で被告人を懲役一年に処し、情状により同法二五条一項を適用してこの裁判確定の日から二年間右刑の執行を猶予する。

更に、被告人の判示各所為は被告会社の業務に関してなされたものであるから、被告会社については、判示各所為につき法人税法一六四条一項により同法一五九条一項所定の罰金刑に処すべきところ、以上は刑法四五条前段の併合罪なので、同法四八条二項により各罪の罰金額を合算し、その金額の範囲内で被告会社を罰金一四〇〇万円に処することとする。

よって主文のとおり判決する。

(出席検察官)室田源太郎

(出席弁護人)田宮敏元

(裁判官 田中正人)

別紙1

修正損益計算書

〈省略〉

別紙2

修正損益計算書

〈省略〉

別紙3

修正損益計算書

〈省略〉

別紙4

税額計算書

〈省略〉

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